エグゼクティブ・シェフとシェフ・イン・レジデンス・プログラムで体験する美食の旅
フォーシーズンズヨットでは訪れる各地の魅力を映し出した11の個性豊かなレストランとバーで、様々な料理とドリンクをお楽しみ頂けます。彩り豊かな料理が、旅先での体験をより一層引き立てます。
エグゼクティブ・シェフは寄港地や航路に合わせた様々な味覚を提供し、更に、シェフ・イン・レジデンス・プログラムで船内に招待されるシェフがその航路限定の特別な味で美食の旅を盛り上げます。

エグゼクティブ・シェフとシェフ・ド・キュイジーヌ
フォーシーズンズヨットでは、ダイニングは陸の制約から解き放たれます。シェフたちは寄港するたびに現地の人々のように買い物をし、メニューは潮の満ち引きに合わせるかのように姿を変えます。ヨットは寄港するすべての海岸線から最上の味を集める、“食の大使館”となるのです。
エグゼクティブシェフのアルマンド・フェルマン・トレドとシェフ・ド・キュイジーヌのジェラルド・アクンツォは、旅そのものと、航路のあらゆる寄港地を五感で味わう芸術として表現する使命を担っています。彼らの経歴は、ミシュラン星付きレストランから船上の名だたるレストランまで多岐にわたります。しかし、彼らの真価を際立たせるのは、技量だけでなく、その探究心にあります。
シチリアの朝市で出会った食材が、その日の夜のメニューを形作り、寄港するひとつひとつの土地をアイデアの源や料理の素材そのものとして捉える姿勢こそが、卓越した旅するダイニングを創るのです。
エグゼクティブ・シェフ – アルマンド・フェルマン・トレド

世界各地で修業を積んだメキシコ出身のエグゼクティブ・シェフ、アルマンド・フェルマン・トレドは、フォーシーズンズヨットが描く美食の世界に卓越した技術と洞察の稀有なバランスをもたらします。彼のキャリアは、サンフランシスコの皿洗い場から始まり、イタリアの「La Trota」などミシュラン星付きのキッチンでの経験を経て、世界各地のラグジュアリーヨットでの新たな船上レストランの立ち上げを手掛けました。その中には、ダニエル・ブールーの初めての船上レストランも含まれます。
これまでの経験が、世界各地の技術を自分自身のものとして磨き上げ、独自性を持ちつつ、卓越した完成度の料理へと昇華させる力を培ったのです。
アルマンドの料理哲学はシンプルさに根ざしています――素材自身に物語を語らせるのです。
”魚が本当に新鮮であれば、ほとんど手を加える必要はありません。せいぜいパプリカ、レモン汁、そして丁寧な火入れくらいです”とエグゼクティブ・シェフは語ります。
この信念が活きるのは、200名未満のゲスト規模だからこそです。チームはまるで地元の市場であるかのように、各地の新鮮な食材を調達します。アドリア海沿岸のストン産カキ、モンテネグロの湾で採れたムール貝、リグーリア海のアンチョビ、シチリア沖のマグロ。カリブ海では、サンゴ礁のイセエビやグレナディーン諸島で熟したマンゴーなど。
シェフにとって、訪れる土地はたとえ同じ国の中であっても、それぞれが独自の味の手がかりとなります。例えばメキシコではグリーンマンゴーをチリで味付けし、カンボジアではフレッシュペッパーで味わう方法を見つけだすのです。
”この経験が、食材の味わい方に対する考え方を変えてくれました”とアルマンドは語ります。
エグゼクティブ・シェフのスタイルは、Bar Piscine(バー・ピシン)のセビーチェからSedna(セドナ)のアミューズ・ブーシュまで、船上のあらゆる料理に反映されています。また、寿司の名匠のもとで学んだ経験は、武士道の精神と出会う機会になり、ヨットの「おまかせ」カウンターMiuna(ミウナ)でのサービスにも息づいています。
”海の上では、単に食材を船に載せるだけではありません。その土地の物語や技術、魂までも一緒に届けるのです”と締めくくります。
シェフ・ド・キュイジーヌ – ジェラルド・アクンツォ

最初のアイデアから最後の飾り付けまで、シェフ・ド・キュイジーヌはメニューの全体を自らの手で設計し、完成まで責任を持って見届けます。フォーシーズンズヨットでは、その役割をジェラルド・アクンツォが担っています。
ナポリ生まれで、ドイツのウォルフスブルクで育ったジェラルドは、給仕の面接を受けるつもりが間違って厨房の面接に応募してしまい、その結果、故郷のミシュラン星付きレストラン「La Fontaine(ラ・フォンテーヌ)」に導かれることになります。
厳しい訓練と濃密な経験が、彼の土台を築き上げ、その礎がすべてのメニューを支えています。ラ・フォンテーヌでは、伝統を重んじるシェフのもとで基本を徹底的に叩き込まれました。
”クラシックな技法こそ、すべての料理の土台です”とジェラルドは語ります。
その後も計画的にキャリアを広げ、星付きのレストランで修行を積んだ後にエルヴェフェルトの2番目の船上レストランの立ち上げと運営に携わり、最初の3年間を指揮しました。
フォーシーズンズヨットでは、彼の影響力は船上のすべてのダイニングに及び、とりわけフレンチを基調としたレストランSedna(セドナ)で顕著に表れます。
”セドナのメニューは、一つひとつの料理がパズルのようなものです。ひとつの要素が変われば、味のバランス全体が変わってしまうのです”とジェラルドは語ります。
ジェラルドが大切にしているのは、即興の発想です。例えば、サントリーニで見つけた赤ムツ、シチリアで手に入れた新鮮なケッパー。そんな偶然の発見は、単にセドナの一皿だけに留まらず、ミウナのクルードやテラスの一尾まるごと使用する魚料理に応用されることもあり、船全体の料理に影響を与えています。
シェフ・イン・レジデンス・プログラム
年に数回、フォーシーズンズ I のシグネチャーレストランSedna(セドナ)に新たな個性が加わります。世界各地のフォーシーズンズの施設から実力あるシェフたちが乗船し、期間限定で滞在。自らの包丁と直感、そして独自のアプローチを携えて厨房に立ちます。忘れられない海上の料理体験を連続した航海で楽しめます。
2026年は、4月にアテネ・リヴィエラに佇むフォーシーズンズ・アスティール・パレスからルカ・ピスカッツィがギリシャ海岸ならではの感性をセドナにもたらし、6月に香港からギヨーム・ガリオが登場し、世界各地の影響を取り入れたフランス料理の数々を振る舞います。7月と8月には、グラン・オテル・デュ・キャップ=フェラのヨリック・ティエシュが、軽やかで繊細なプロヴァンス料理を披露します。
各シェフのレジデンス・プログラムの期間中、セドナのダイニングルームはそれぞれの個性に染まり、陸上では味わえない特別な体験を提供します。ミシュラン星付きシェフが船上で生活し、調理し、その日の市場と航路に合わせてメニューを作ります。

レジデンス・シェフたちは、自分のスタイルを一方的に持ち込むのではなく、ヨットが既に築き上げてきたキッチンチームに溶け込み、動く厨房という環境に合わせて料理を調整します。レジデンス・シェフのメニューはセドナの通常メニューと並行して提供され、ゲストは毎晩異なる選択を楽しめます。ある夜はレジデンス・シェフによる5〜7品のテイスティングコースを満喫し、別の夜はシェフ・ド・キュイジーヌ、ジェラルド・アクンツォが手がけるセドナの洗練されたコースを味わうことができます。ゲストは両方のコースを楽しみ、同じ食材がシェフごとにどのように調理されるかを比べて楽しむことができるのです。こうした多彩な体験の積み重ねが、航海の“美食パスポート”のコレクションとしてゲストの体験に加わるのです。
ワインのキュレーションは、フォーシーズンズホテル香港の三つ星レストランCaprice(カプリス)でプログラムを率い、2024年に「世界最高のソムリエ」に選ばれたヴィクター・ペティオによって手がけられます。ゲストはボルドーのシャトー・ラトゥールやシャトー・ディケム、そしてシャンパーニュの名門クリュッグといった、垂直セレクション(同一銘柄の異なるヴィンテージ)や地域に合わせたフライト(飲み比べ)を楽しめます。キャビアは、仕入れと熟成で名高いパリのハウス、カヴィアリが提供します。セドナではワインプログラムに特に重点が置かれています。

一方、船内のほかのエリアでは、ペルーの受賞歴のあるカカオスーヨのチョコレートや、マニュ・ハリトによるキュレーションでダビドフやアルトゥーロ・フエンテなどの銘柄を揃えた葉巻をシガーラウンジで楽しめます。また、サロンではJING(ジンティー)のシングルオリジンティーが提供されます。
記憶に残るのは、シグネチャーディッシュや形式ばった儀式ではなく、航海ごとに紡がれる美食の物語です。シェフ・イン・レジデンス・プログラムによって、同じ航路でも全く違った味の体験がもたらされます。ゲストの体験は、ヨットが航行する場所、キッチンに参加するシェフ、そしてその日の市場で手に入る食材によって決まるからです。ラグジュアリーの中に生まれるこうした即興性こそが、洋上での食事を心に残る特別な体験にしてくれます。